- 2012-07-03 (火) 12:31
- 読書レビュー
17歳のおちかは、ある事件を境に、ぴたりと他人に心を閉ざした。ふさぎ込む日々を、叔父夫婦が江戸で営む袋物屋「三島屋」に身を寄せ、黙々と働くことでやり過ごしている。ある日、叔父の伊兵衛はおちかに、これから訪ねてくるという客の応対を任せると告げ、出かけてしまう。客と会ったおちかは、次第にその話に引き込まれていき、いつしか次々に訪れる客のふしぎ話は、おちかの心を溶かし始める。三島屋百物語、ここに開幕。
ジ~ンと心に響く、夏のホラー小説第三段、「おそろし」。
ちょっと最初の設定に無理があるかも知れませんが、まぁ何というかホント昔は人間と物の怪の距離も近かったんだよね~と感じさせてくれる一冊。あまりにも、怖すぎる本が苦手な方にはお薦めできる範囲ですね。
17歳のおちかが心を閉ざす。
・・・・で、心配した三島屋の叔父さんはそれぞれ問題を抱える人の聴き部の役をおちかに命じる。・・・・で、なんでそうなるん?(爆)設定は面白いです。それぞれが話す、物語の内容も。まるで自分がおちかになった気になって、ついついそれぞれの登場人物の話に耳を傾けてしまう、、、、、引き込まれやすい。おちかの仕事はまるで現代の占い師や霊能者の仕事とちょ~っと被ってるなぁ~と興味は湧きましたが、最初の設定がどうしても気になるなぁ・・・・・・叔父さんは一体、何者なん?(爆)
まぁその設定はさておき。語る人の話がおちよの心を溶かし、溶けたおちよの心が語る人の心を溶かす・・・・・これはさすがだと思いましたね、、、、人の話を聴く職業の真髄をみた気がしました。ってか、この叔父さんは一体、何者なん?(二回目!)
そんなに先見の目があるなら、自分がおちかに語りかければ良いことだし、叔父さんの奥さんも言ってたけどおちかにはちょいと荷が重すぎやしないかい?ってか、反対に相手の話に引きづり込まれて余計に心を閉ざしたらどうすんの?・・・・・なんて大人気ない考えは捨てて下さいね(笑)
ところどころ、宮部さんの心の深さとその腕を見せつけられて溜め息が漏れさせるのは、、、、、やっぱり凄い。
「黒白の間」とは、要するに「善も悪もない、グレーの間」という意味じゃないかなぁ~そこに心が深くえぐれた方々が、ポツリポツリと過去の傷口をさらけ出す。実際に、自分達も人様に言葉にしてあらわば流せる心・癒せる心と、そこにそれを受ける事によって自分を客観的にみつめ知らずして心を成長させていくおちか。
読み手はいつしか、おちかになり、語り部になり。
最後に「感動」という言葉では表現できない想いで、物語すべてを包み込んでくれる文章の上手さに脱帽です。
携帯の方はこちら⇒おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)
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コメント:2
- kabosu 12-07-04 (水) 15:59
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宮部みゆきさん!!どゎ~~い好きです。
現代物よりも時代物がより面白い。
でも、、、何ですか?この前後のご本の表紙は・・。
さすがの私も怖いです・・・。
ところで、映画の(DVD)”others”ってご覧になった事ありますか? - 管理人 12-07-05 (木) 1:59
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kabosuさん
「火車」読まれました?あれが一番、好きだなぁ~othersはもちろん!ニコール・キッドマンの美しさに惹かれました(笑)宮部みゆき、名前の「み」を取って本名は「やべ・ゆき」、これ使えないマメ知識です(苦笑)
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