結局、このストライキのお陰でモナコに6日間も拘束されました。
しかし「5泊同じホテル・同じ部屋」との、この閉鎖空間の共有と「ストライキ」という旅行者泣かせの異常事態の被害者感覚によって3人の距離は一気に縮まりました(苦笑)
初めは落ち込み、ベットに転がり福岡から持ってきたウォークマン(古い!!)を耳から話さなかった自分。
当時、日本で毎日のように聞いてた音楽は聴くたびに心を癒してくれましたが、、、、その反面、帰郷心がその都度襲ってきて正直やっかいなものでしたね・・・・・。また友達の中には 「ピンチの時に聞くべしっ!」 と本人直筆のラベルが貼ってあったカセットを餞別に渡してくれたヤツもいて。今回のモナコで早速、聞いてみたんですが・・・・・・中には渡してくれた友達のアカペラの 「負けないで(by ZARD)」 が永遠にリピートされて録音されていたり(爆)・・・・・・・これもはじめは一人で笑いを噛み殺しながら聞いていたんですが・・・・・・その内、管理人のホホを伝う一筋の涙に変わり(苦笑)・・・・・正直、勝てる要素のない、余計にピンチに追い込まれたカセットの内容でした。
アメリカ人のナデルは友達になろうとしょっちゅう、話しかけてくれても愛想のない態度で追い払う自分。特にこんな心境で、しかも訳の解らん英語で心の中にドカドカ入ってこられるのが苦手でした・・・・・・
「お前・・・英語は話せないのか・・・・・??」
とラルスも何度か話し掛けてくれましたが・・・・面倒のあまり、首を振ってシカトしてしまいました。
(あ~なんてオレは不幸なんだ~早く帰りたいよ~)
そう。不幸な時に限ってすべての可能性を自ら否定してしまい、自分の殻に引きこもり、(今でも部屋には引きこもり気味ですが)、本当に視野が狭くなるんですよねぇ~後から笑えたり、気づいたり出来るんですが当時の自分には無理でした。・・・・・・・人間ってホント、不思議です。
次の日、朝食を終わらせナデルの 『一緒に買い物に行こう!』 との誘いを断り、一人ホテルの前の道端で行きかう人をタバコを吸いながらぼんやりと眺める。一度、考え出せば消えることのない福岡の風景・・・・・・・・家族の顔。友達の顔。・・・・みんなの顔。なんでだ??こんなに天気が良いのに・・・・夢にまでみたヨーロッパの、まだ目的さえ達成させていないのに・・・・・・・
あまりのせつなさに 『帰ってから実行するリスト』 を書いていたその時。
「それは・・・なんだ??」
と日記を覗き込んだ顔は・・・・ラルスの方でした。
「これは『漢字』。で、これが・・・・『カタカナ』。そしてこれが・・・『ひらがな』・・・・・3種類を組み合わせて『日本語』・・・・解る?」
何をどう伝えたのかは定かではありませんが、一生懸命伝えました。
ラルスは目を大きく開き、彼なりの精一杯(多分)の表情で
『なんて日本人は頭がいいんだ。』(多分こんな意味)
と言ってすぐにナデルを呼び、自分の日記を見せて今、自分が伝えた(?)ことを説明する。するとこちらは必要以上のオーバーリアクションで(笑)、
『お前、すごいじゃないか!!』
と大げさに褒めてくれる。
・・・人間、、、、褒められて嬉しくない事はないですよ!!!
なんと単純な自分。その時から一気に仲が良くなった気がします。今思えばおそらく2人なりに、おかしな雰囲気を漂わせ落ち込んでいる自分を心配してくれていたんだと思います。その晩は2人に誘われ、近くのバーに行きました。モナコのビールは少し甘く、自分好みでした。
「お前は一番、年下だから」
と少しのお金も受け取らない二人。お昼になればナデルがマックを食べに連れて行ってくれ、ここも 『オン、ミー。オン、ミー』 (オレの奢りだ)と言って一切、お金を受け取ってくれない。(ラルスはお酒の時しかついてきませんでした) 夜はレストランに連れて行って貰い、ここも 『オン、ミー。オン、ミー。』 慣れると厚かましい・タダに弱い・節操のない自分はいつも食事の時間になると2人の後ろにくっついて行ってましたね(爆)
英語が出来ない自分は2人の会話はいつも分かりませんでしたが、2人が
『スペイン人の女の子2人組みはかわいい』
『しかし、連れのほうはまるで男だ。』
『お前はどっちが好きだ??日本人。』
などの分かる部分の話を聞いてはニコニコしてただビールを飲んでいました。(とにかくラルスが毒舌家だったのはよく分かりました)
ある日、ナデルがいつもの様に買い物に行こうと誘ってくれる。自分は思い切って、『カメラを失くしたから欲しい』 と伝えると 『よし!オレが付いてきてやるからカメラを買いに行こう!』 と。も~本当に嬉しかったですよ~!!!!!(ちなみにラルスも誘いましたが「疲れているからオレはいい。」と・・・・あんた、酒飲む事と本を読むこと以外何もしてないやん・・・・・)英語が話せる(アメリカ人なんで当たり前ですが)ナデルが付いてきてくれるとすごく心強い!!
炎天下の中、2人は街中をウロウロ。
ナデルは「サングラスが欲しいからお前が選んでくれ」と。
一つ、一つのサングラスを掛けてこちらを振り向くナデルに「・・・グット。」「・・・バット。」「・・・・ベリーグット。」のくり返し(笑)一つサングラスを選ぶのに1時間半も掛かりましたが、もちろん文句の一つも言うはずがありません!!自分は持ってきたフィルムをナデルに渡し、「これが入る、安いカメラが欲しい」と伝え、ナデルは 「O.K!」と軽く引き受けてくれる・・・・・・そ、そしてついに!!!念願のカメラが自分の手に!!(あ~やっとこれで気持ちをリセットして旅が続けられる)・・・・・もう、ナデル様様でしたね(笑)
そして、その日もう一つの大きなプレゼント。
ナデルが
『両親のお土産にじゅうたんを買いたい』
と言い出し、(金持ちやねぇ~・・・・) 家具屋を回っていた途中。一軒の高級家具屋に、、、、これまた金持ちそうな老紳士がいて人の良いナデルは気軽に話掛けはじめ・・・・・・・なんと、その人はモナコのグランド・カジノのマネージャーだったんですっ!!(後から興奮した口調でナデルが説明してくれました!)
英語だったので正直、ナデルが何を話していたのか分かりません・・・・・が。しばらく話し込み、ナデルが自分を指差し紹介してくれる。
(・・・・え?オレ??)
慌てて、取りあえず、『・・・・・・・・ボンジュ-ル。』と挨拶。
金持ちそうな老紳士は苦笑いしながら 『オーケー、オーケー。』
(・・・・え?オーケーって何よ???)
実はその前の晩、ナデルとラルスに 『カジノに一緒に行かないか??』 と誘われ、 『自分は19歳だからお店に入れない』(パスポートのチェックがあります)と言うと、「・・・・・・それじゃぁ、仕方ない」と2人は行くのを諦めていてくれたのです・・・・・・・・・・。そして、何をどう話したのかナデルがマネージャーと友達になり・・・・・・なんと。交渉して自分の入店許可を頂きました(笑)
続く。
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コメント:7
- まき 09-08-03 (月) 10:49
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わくわくわく。
- 辛 09-08-03 (月) 14:18
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すごいです…
モナコですね。
グレースケリーですよ。(古い?)管理人さんのおおらかさは
この放浪記で培われたものがあるような…わくわくしながら拝読しています。
がんばれーカジノだっ - show 09-08-03 (月) 23:04
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なんか、本が書けそうですねー。
旅行って、いいなぁーと思いました。この旅行が始まってから、ピンチの時に必ず助けてくれる人に出会っているような気がするんですが・・・。
やっぱり、村雲さんを守ってくれる神様のおかげなんでしょうか?続きが楽しみです。
- 花 09-08-03 (月) 23:30
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管理人さま、こんばんは(^_^)
すごいですねっ!19歳にして カジノデビュー♪
うちのパパの夢は 60歳で 古代エジプト&カジノに行きたい~っ!らしいですから(笑)花の19歳は何してたっけ?。。。 管理人さまみたいにワールドでなく(笑)デパートガールしてました~。
他県に 研修いったり 他県の応援員と 親睦深めたり楽しかった♪
お酒飲めないなんてウソちゃうか~?て言われて「ホントにアカンのですっ!ほらっ!」て飲めないお酒をイッキしてトイレを占領した若気のイタリ(汗)そういえば、花の拾った犬を かわいいからっと、故郷に連れ帰った人も(笑)。。。
何時のときも、出逢いは 大切な たからもの ですね♪
記事は ハラハラしたり、笑ったり(カセット!花も友達の餞別に仲間で、吹き込みしたしっ!泣ける歌ベストとかも(笑))
当時は 笑い事じゃ あ~りません!ですよね(((・・;)
男の料理も旅行記も!楽しみです♪ - 管理人 09-08-04 (火) 21:55
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まきさん
ドキドキドキドキ(笑)辛さん
すみません~ゲームはしなかった・・・いえお金がなかったので
出来なかったんですよ(笑)ついでに未成年なのでお酒もノンアルコール、
煙草ももちろんチョコレートです!!(爆)showさん
捨てる神あれば拾う神ありっ!!・・・・みたいな(笑)
当時は幽霊はおろか、神も仏もない。世の中には自分しかいないっ。
ぐらいの頼もしい(?)男だったんですけどねぇ・・・・・花さん
当時、ボクはまだ未成年なのでノンアルコールです。
優等生だったんですよ~こう見えても。
煙草??もちろんチョコレートです。
酔っぱらって好きな女の子の頭でリバースした事なんて
間違ってもないです(笑) - 花 09-08-04 (火) 23:25
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花も こ~みえてマジメでしたから(笑)。二十歳誕生日のお酒です~♪好きな男の子に 吐くの手伝ってもらったなんて。。。間違ってもないです(笑)
- 管理人 09-08-05 (水) 0:59
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花さん
まぁまぁ旅の恥はかき捨てですよ・・・・・旅ブログなだけに。
全然関係ないですか、そうですか。(笑)
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